日本で販売されているスポーツスターはアメリカ本国の仕様と比べて、燃料の噴射量が少なく設定されています。
日本国内の厳しい排気ガスの規制に適合する為には仕方がない事ですが、結果的にはスポーツスターは乗りにくいと感じさせる原因になっています。
燃料の噴射量が少なくなっている事によって、
夏場にエンジンがオーバーヒートしやすくなる
アクセルの開け初めがギクシャクする
低速時に異常にノッキングする
マフラーやエアクリーナーを交換して吸気や排気を良くしても本来のパワーを生かすことができない
といった症状が発生します。
2007年式以降のスポーツスターは、燃料の噴射方式にインジェクションを採用しています。
インジェクションはコンピュー ターで燃料の噴射をコントロールしている為、2007年式以前のキャブレターを採用しているスポーツスターと違い、
コンピューターのセッティングを変更し なければ燃料の濃さの調整が出来ません。
逆に言えば、インジェクションコントローラーで燃料を濃く補正することによって、上記のような症状を改善することができるのです。

インジェクション方式のスポーツスターの燃料を濃くするには大きく分けると4つの方法があります。
トランスファーチューニング |
ノーマルのコンピューターを書き換えるインジェクションチューニングの事を言います。パソコンを使って設定することが必要になり、専門の知識がないとセッティングできない。 |
フルコンチューニング |
純正のコンピューターを取り外し、交換するチューニングです。本体代も高額になり、セッティング費用も高いために高額になってしまいますが、セッティングの自由度は高く、他のチューニングでは出来ない事もできる。 |
サブコンチューニング |
純正のコンピューターに接続してインジェクションの動作のみ制御するチューニング。アイドリングを下げるなど、フルコンに比べると出来ることは限られますが、反面安価で調整しやすいと言うメリットもある。 |
O2センサー補正チューニング |
マフラーに接続されるO2センサーに装着して、O2センサーの信号を変換してコンピューターに送信し、燃調を濃く補正する。しかしO2センサーは常に動作しているわけではないので、効果は限定されてします。 |
弊社がスポーツスターのインジェクションコントローラーを開発するにあたり、早い段階でO2センサー補正チューニングは開発の候補から外れました。
理由は機能が限定され、思ったような効果を得ることが難しかったからです。
また、優れたチューナーが手を入れたフルコンチューニングやトランスファーチューニングは素晴らしい効果が期待できますが、以下の問題点がありました。
日本のハーレーの仕様にあわせたセッティングデータを入力しなければならない為、
セッティング費用が高いうえにノウハウを持ったショップでしか対応できません。
トランスファーチューニングに必要なパーツは本体代金だけで7万円前後必要になる上に、セッティング代金が3万円前後かかります。
アイドリングの回転数か ら点火タイミングまで幅広くセッティングデータを入力しなければならない為、
セッティング代金は仕方がないと言えますが、総額は10万円以上になります。
車検の際は燃料を濃く補正していると試験に通りませんので車検毎にセッティングしなおさなければなりません。
その為、都度ノウハウを持った専門ショップにお願いする形となり車検代金は高額となります。
検討の結果、
スポーツスターのインジェクションチューニングに採用したのがサブコンチューニングです。

既に色々なメーカーからサブコン方式のスポーツスター用インジェクションコントローラーは販売されており、いくつかサンプルで購入してみましたが、
サンプルで購入したサブコンはどれも、加速時やアイドリング時、巡航状態やフルスロット時などの燃料の追加量の調整が出来るものでした。
ですが、実際にセッティングしようとシャーシダイナモに乗せてみると、ある問題点が浮き上がりました。シャーシダイナモに乗 せると、
パワーカーブと空燃比を見ることができます。パワーカーブとは読んで字のごとく、どの回転域でどれぐらいのパワーが出ているのかがわかるグラフの 事をいい、
空燃比とは、空気とガソリンの比率の事をいい、理想的な空燃比より濃いことをリッチ、薄いことをリーンと言います。
実際にセッティングする際には、空燃比とパワーカーブを見ながらセッティングしますが、各回転域でのセッティングが出来ないとうまくセッティングができません。
そこで、スポーツスター用 インジェクションコントローラーは500回転毎に燃料の濃さを補正できるようにしました。


シャーシダイナモに乗せながらセッティングすれば、理論的なベストなセッティングにする事は可能ですが、
シャーシダイナモを備えているバイク屋さんや用品店が近くにない場合は実走でセッティングしなければなりません。
実走セッティング時に雨が降ってきても壊れないように本体は防水にしました。
基本的に雨が少ないハーレーの本場アメリカ製のインジェクションコントローラーは防水性能が低いものが多いのですが、
梅雨があり雨が降ることも多い日本ならではの仕様です。

この動画はスポーツスター用インジェクションコントローラーの使い方です。詳しい説明がなくても直感的に操作できるようになっています。
セッティングは専門店でダイナモにかけながらやってもらうことをお勧めしますが、車検の際はノーマルセッティングに戻す必要があります。
操作方法はとてもシンプルなので、ノーマルセッティングに戻す際はあなた自身が操作することも可能です。


スポーツスター用インジェクションコントローラーはO2センサーというパーツとインジェクターというパーツ部分に装着する形になりますが、
その際一切の配線の加工は必要ありません。カプラーオンで装着可能です。
さらっと書きましたが、スポーツスターはアメリカのバイクの為、カプラーなどもアメリカの規格を採用しており、日本国内では見つかりませんでした。
そこで海外まで操作範囲を広げてようやく見つけることができました。


ハーレーは鉄馬と称されるように、殆どのパーツが鉄で構成されています。国産バイクであれば樹脂パーツで作るような物であっても鉄で作られています。
サイ ドカバー内に収めてしまえば見えないパーツではありますが、プラスチックでは高級感がなく、ハーレーらしくないのでアルミのボディで仕上げました。
更にブ ラックのアルマイトで仕上げ質感を向上しています。

ーマルの車両で燃料を濃くしても、シャーシダイナモテストに乗せた時にパワーが上がる等の数値上の違いはでません。
しかし、実際に公道を走ってみると、出だしのトルクが増えている感じがしたり、低速時の不快なノッキングが低減します。
また、夏場はスポーツスターのエンジンはオーバーヒート気味になり、かなりの熱を発しますが、
燃料を濃くすることによってオーバーヒートの解消に繋がり快適になります。
マフラーを交換した車輌の燃料を濃くすると・・・

上記のマップの赤ラインはノーマルマフラー。緑のラインが弊社オリジナルマフラーのスポーツスター用アンリーシュパワーマフラー装着時のパワーグラフです。
ポン付けでもパワーが出ていますが、更にインジェクションコントローラーで燃料を濃くすることによって、ピークパワーは変わらないものの、ほぼ全域でパワーが上昇します。
抜けの良いマフラーを装着すると、エアクリーナーから入った空気がシリンダーヘッドを通って、マフラーまで到達する流れが速 くなります。燃料の噴射装置からガソリンがシリンダーヘッドに到達し、空気と混ざって爆発します。空気と混ざったガソリンを混合気と言いますが、流れが速 くなった事で混合気がシリンダーヘッドで爆発せずにサイレンサーまで行って、サイレンサー出口で爆発し火が出ることをアフターファイヤーと言います。
燃料は薄ければ薄いほど、空気と混ざって爆発した時に高温になる為、シリンダーヘッド内部が異常に熱くなってしまう現象がおきます。元々燃料が薄めのハーレーは夏場にオーバーヒートしやすいのはこのような現象のためです。
パンパンいうアフターファイヤーが格好良いという人もいますが、燃えるはずのガソリンが燃えないでマフラーまでいってしまう と、結果的にシリンダーヘッド内が高温になってしまうことに繋がり、デトネーション【異常燃焼】が起こりノッキングを引き起こします。デトネーションが繰 り返し起こると、熱でシリンダーを溶かしてしまうなど、エンジンに深刻なダメージを与えてしまうことがある為注意が必要です。
抜けの良いマフラーをスポーツスターに装着する場合は必ずインジェクションコントローラーで補正してください |
※一般の方向けに最もシンプルな理論で説明しています。本来はもっと色々な要因が影響しますが、理解して頂くことを第一に説明していることをご理解下さい。 |

先日某有名チューナーがトランスファーチューニングをした車両に乗る機会がありました。
荒々しさは一切無く、まるで4気筒エンジンの車両に乗ってい るかのようなフィーリングは絶品の一言。
アイドリング回転数や点火タイミング、レブリミッターの回転数など全てのセッティングが変更可能なトランスファー チューニングやフルコンチューニングは、
マップの作り手の経験値でスポーツスターを国産アメリカンのような乗り心地にすることが可能です。
資金が許すので あれば文句なしにトランスファーチューニングやフルコンチューニングをオススメします。
O2センサーの補正チューニングは全ての回転数で燃料を濃くする形になる為、細かいセッティングができません。
ですが抜けの 良いマフラーに交換した時のアフターファイヤーの軽減やオーバーヒートの軽減は出来ます。
手軽にインジェクションチューニングを楽しみたいと言う人には ピッタリだと思います。
それに対して、弊社のインジェクションコントローラーは、O2センサー補正チューニングとトランスファーチューニングやフル コンチューニングの間ぐらいの性能です。
抑えつけられていたスポーツスターの性能を充分に開放します。
抜けの良いマフラーと同時装着する事で圧倒的なトル ク感と鼓動感を手にすることが可能です。
スポーツスターの魅力である、鼓動感、トルク感を得たい。もう少しスポーツスターを乗りやすくしたい!という人に使って頂きたい製品です。
適合車種 |
2007年式以降のインジェクションを採用したスポーツスター
XL883 XL883R XL883C XL883N XL883L XL1200 XL1200R XL1200C XL1200N XL1200X XL1200Vなど。
2014年式以降のモデルに関しては、適合確認がとれておりません。 |